(24)「からすたろう」:赤木かん子の「親子で読もう!今どきの絵本のおすすめコーナー」

今日の絵本は、
「からすたろう」
(八島 太郎・作  偕成社 1979年)


からすたろう - 八島 太郎
からすたろう - 八島 太郎


ある小さな学校の話です。

そこの六年生には、
たぶん知的障害であろう男の子が一人いました。
彼は六年間、何時間もかけて学校に通ってきては
文字もろくすっぽ書けず、座っていました。

なので、村の人たちも子どもたちも、
その子のことは軽んじていたのですが、
新しくきた、若い先生はその子に話しかけ、
何が書いてあるか読めない習字もちゃんと貼りだす人でした。

そうして、村中の人が集まる学校の学芸会で、
その子はカラスの鳴き真似をしてみせたのです。

子どもを探すお母さんカラスや、
喜んだり怒ったりしているカラスの声を……。
それは本当にカラスの声そっくりで、
大人たちはみな感心してしまいました。
カラスが何を言ってるか、わかるような鳴きかただったのです。

その子は山奥で炭を焼き、一生暮らしていくでしょう。
でも、村の人にどことなくバカにされて暮らすのと
(そんなことだと、何かあったときにはスケープゴートにされかねません)
“からすたろう”と呼ばれて丁寧に、うやうやしく扱われて生きるのとでは
天と地ほども違うはずです。
この先生は、この村の中に彼の“居場所”を作ることに成功したのです。

やしまたろう、は、戦時中捕まってひどい目にあわされ、
戦後はアメリカに行って暮らし、
故郷の懐かしい(日本でも失われてしまった)風景の絵本ばかり描いた人でした。

この絵本は
教育には何ができるのか?学校には何ができるのか?
という問いに対する一つの答えです。

なので、いくら時がたっても古くなりません。
そうして、いまの低学年はみんな
悪気はなくとも、この子をそこはかとなくいじめたり
無視したりしていることに気づき、怒るでしょう。

そうして、からすたろうの人の良さを好きになり、
この先生を尊敬するだろうと思います。

今の子は“本物の一冊”が好きなのですから。




(23)「とびきり おかしな マラソンレース」:赤木かん子の「親子で読もう!今どきの絵本のおすすめコーナー」

今日の絵本は、
「とびきり おかしな マラソンレース」
(メーガン・マッカーシー作  光村教育図書 2019年)


とびきりおかしなマラソンレース―1904年セントルイスオリンピック - McCarthy,Meghan, マッカーシー,メーガン, ゆうこ, おびか
とびきりおかしなマラソンレース―1904年セントルイスオリンピック - McCarthy,Meghan, マッカーシー,メーガン, ゆうこ, おびか


1904年の第一回オリンピックマラソンレースのお話です。
(だから本当にあったできごとです)

このとき、いきなりセントルイスに移されたマラソン大会は、
道は整備されていないわ、
気温は30度越えだわ、
給水はされないわ、で
今では考えられないような、珍妙かつ過酷ななレースだったようです。

キューバの天才ランナー、カルバハルなどは、
ストリートでアメリカに行くためのお金を集め、
飲まず食わずでたどり着いたようで、
途中、桃やりんごを勝手に食べていたり、
お医者さんの乗ってる車が崖から落ちたり、
エピソードには事欠かない大会だったそうです。

このとき日本人選手はいなかったので、
日本人がいないものにはいっさい関心のない日本では、
この大会のことを知っている人も少ないでしょう。

ストーリーマンガの存在しないアメリカには、学習マンガもないので、
日本が学習マンガでやっているような情報を絵本で作ります。

こういう“本当にあった話”や“伝記”も絵本で作っているので、
ときどきこういう、へーっ!と思うようなネタの絵本があったりします。

本当にあった話、が好きなお子さんたちには、
そういう絵本を読んでみてください。
案外ウケますよ。



(22)「にわとりのおっぱい」:赤木かん子の「親子で読もう!今どきの絵本のおすすめコーナー」

今日の絵本は、
「にわとりのおっぱい」
(山本 省三作  講談社 2005年)


にわとりの おっぱい (講談社の創作絵本) - 山本 省三
にわとりの おっぱい (講談社の創作絵本) - 山本 省三


一年生が主人公の、
調べ学習って、自分の頭で考えるって、
こういうことだよね、の一冊です。

ある日、
学校で飼っているニワトリが卵をかえしました。
そうしてひょんなことから
ニワトリにはおっぱいがあるかないか、の議論が始まったのです。

担任の先生はにこにこ笑いながら
この議論を聞いています。
子どもたちはちゃんと根拠をあげて主張し、
最後には、じゃあみんなで見に行けばわかるよ!と、
“実験・観察”までたどりつくのです。

えっ?
ニワトリは鳥類で哺乳類じゃないから、
おっぱいがあるわけないだろう、と冷静にいう人でなければ、
この一冊を楽しんでくれ、
自分で確認することの重要性も理解してくれると思います。




(21)「ちいさいおうち」:赤木かん子の「親子で読もう!今どきの絵本のおすすめコーナー」

今日の絵本は、
「ちいさいおうち」
(バージニア・リー・バートン作  岩波書店 1965年)


ちいさいおうち (岩波の子どもの本) - バージニア・リー・バートン, バージニア・リー・バートン, 石井 桃子
ちいさいおうち (岩波の子どもの本) - バージニア・リー・バートン, バージニア・リー・バートン, 石井 桃子


ちいさいおうちが、
はじめは静かな田舎にあったのに
だんだん周りが都会になっていき、
ビルの中に埋もれるようになった年老いたおうちを
若い者がまた田舎に持ってってやる、という、
バージニア・リー・バートンの売れに売れた名作ですが、
最近は見なくなっている、と思います。

でも、ここんとこの1、2年生を見ていると、
また「ちいさいおうち」復活できるんじゃないかと思うのね。

なぜかというと
この絵本のテーマは“老人問題”だからです。

いまの低学年は
人の役に立つこと、人の世話をすることに敏感です。

こっちは、まだその子たちは世話をされるほうだと思っていても、
本人たちは、すでに世話をする側に立っている、と思っているわけですよ。

物語というのは
何人もの登場人物がでてきて、
読者は通常はやはり自分と立場が似ている人に思い入れるので、
同じ物語でも読み手が違うと違う話になったりするものですが、

いまの子どもたちは、おそらく
ちいさいおうちを田舎に移してあげる若者たちに
自分を重ねるのではないかと思います。
そうだ、そうだ、そうしてやればいいよ、と。
そうして満足するのです。

そういうことを思いつかない、したいと思わない人たちには
この話はポカンとするだけだったので、
ここ何十年かは使えませんでした。

でもこの1、2年はカムバックしてきたと思うのです。
あ〜、うちの子、ウケそうだわ〜と思ったらお試しあれ。




(20)「ストライプ たいへん! しまもようになっちゃった」:赤木かん子の「親子で読もう!今どきの絵本のおすすめコーナー」

今日の絵本は、
「ストライプ たいへん! しまもようになっちゃった」
(デヴィッド・シャノン作  らんか社 1999年)


ストライプ―たいへん!しまもようになっちゃった - デヴィット シャノン, David Shannon, 清水 奈緒子
ストライプ―たいへん!しまもようになっちゃった - デヴィット シャノン, David Shannon, 清水 奈緒子


子どもの本の中にはときどき、
私が勝手に“ストレンジャー”と名づけている人が出てくるタイプがあります。

困っている子ども(主人公ね)のところへ、
見知らぬ他人(ここが大事。親じゃないのがみそ)がいきなりやってきて、
ドカン!
と一気に解決して去っていく、というもので、
ストレンジャーは必ず去らなくてはなりません。

去らないと、その子の成長をそこでストップさせてしまうからです。

この「ストライプ」は
1990年代アメリカのトップスターだった(今でもか)
デイビッド・シャノンの代表作です。
キモかわいい系のハシリの作家さんです。

本当はリマ豆が好きなのに、みんなに笑われると思って
キライだわ、と言ってしまった女の子が
全身しましまになる病気にかかる……。

両親は全く役に立たず、
学校と来ては校長が、
学校に来ないでくれ、他の子に移るといけないから、
と電話をかけてくる始末……。

絶望したところへ小さな可愛らしい魔法使いのおばあさんが来て、
リマ豆をさしだすのですが、

みんなになんと言われてもいい、私はリマ豆が好きなんだから!
と食べたとたんにしましまが消える、という、
なんとも意味深な話です。

日本でもこの15年間、
読んでやって当たらないクラスも学年もない、
特に同調強制の強い日本の子どもたちには
思い当たるふしが多々あったようで、
みんな、息を止めて聞いていたものです。

当時の大人はこの絵を気持ち悪い、といって
とても嫌がったものですが、
いまの30代、40代はそんなことないでしょう。

いまの一年生あたりは、たんに、ふ〜ん、といって
聞くだけかもしれませんが、
一度読んでやるのも悪くないと思います。

他の人の顔色ばかりうかがって、
自分は本当はどう感じているのかわからなくなってしまうのは
違うよね、という確認は
しといたほうがいいように思いますので。




(19)「お父さんが教える 作文の書きかた」:赤木かん子の「親子で読もう!今どきの絵本のおすすめコーナー」

今日の本は、
「お父さんが教える 作文の書きかた」
(赤木かん子・著  自由国民社 2014年)


お父さんが教える 作文の書きかた - 赤木 かん子
お父さんが教える 作文の書きかた - 赤木 かん子


一人で文字を追うのはかなりグレードの高い作業です。

でもそれを誰かが音読してくれるだけで!
グレードが四つくらい、下がる気がする……。

実際、下がると思う……。
不思議だけど……。

なので、これは大人が前もって黙読しておいて、わかった!
と思ったら、子どもに音読してやって欲しい本なんです。

親子で読むときの利点は、わからないときにすぐ
これはどういうこと? と聞ける、
対話しながら本を読めるということで、
だから科学やこういう勉強系の本は
一緒に読むのに向いているジャンルなんです。

この、たった一行のかきかたを教えないのに、
文章を書け、
400字の原稿用紙3枚書け、とか、そんな無茶な。

技術的なことは、
そりゃハイレベルのものを作るにはセンスは不可欠ですが、
第一歩は技術ですよ。

どうやってやるか、の解説は必要です。



(18)「行きたい高校に行くための勉強法がマンガでわかる 中学一冊目の参考書」:赤木かん子の「親子で読もう!今どきの絵本のおすすめコーナー」

今日の本は、
「行きたい高校に行くための勉強法がマンガでわかる 中学一冊目の参考書」

(船登 惟希・著  KADOKAWA 2020年)

行きたい高校に行くための勉強法がマンガでわかる 中学一冊目の参考書 - 船登 惟希, usi, usi
行きたい高校に行くための勉強法がマンガでわかる 中学一冊目の参考書 - 船登 惟希, usi, usi

親子で読む本じゃなくて、親子で、別々に読んだらいい本。

お勉強の仕方を教えてくれる本て、なかなかないから、
こういう本はありがたい。

学校は、中学校も小学校も、「買い」です。

読める人は読んでね。