(17)「ロンと海から来た漁師」:赤木かん子の「親子で読もう!今どきの絵本のおすすめコーナー」

今日の絵本は、
「ロンと海から来た漁師」

(チェン・ジャンホン 作  徳間書店 2015年)

ロンと海からきた漁師 (児童書) - チェン ジャンホン, 敦, 平岡
ロンと海からきた漁師 (児童書) - チェン ジャンホン, 敦, 平岡

これは新しい本なので、演出なしの、そのまんま読んでやることができます。

お父さんが海から帰ってこなかったあと、
ロンは(10歳くらいの男の子です)
海辺の掘っ立て小屋で魚を取って極貧の暮らしをしています。

絵の中にビルが建っているので、
これは昔話ではなく、現代の話だ、ということがわかります。

ロンは、いろいろなところから見捨てられた子どもなのです。

絵本というのは
文章に書いてないことを絵が語るので、
絵に目ざとくないとこういうことを見逃してしまいますが、
子どもはたいてい気がつきますね。

そうして、ある嵐の日に魚を取りに行ったロンは
海から骸骨を引き上げ、命からがら逃げ帰りますが、
骸骨は船端に捕まって、一緒に帰ってきたのでした。

ここらへんの絵はものすごく怖いので、
たいていの、特に男の子たちは息を呑みます。

それを見たロンも恐怖のあまり気絶してしまいますが、
骸骨はロンを手当してくれます。

そうしてやがて目覚めたロンが骸骨を気の毒に思い、
自分が持っているありったけ、
最後のスープの一碗まで骸骨に食べさせてしまうと、
骨に肉がつき、人間に戻るのです(ここは昔話を踏襲していますね)。

これが昔話なら、その骨はお父さんなのですが、
これは現代バージョンなので、見知らぬ男です。

そうして彼は、自分にもお前くらいの男の子がいたんだ、と語り、
一緒に船に乗り、たくさん魚を取りに行くのです。

子どもたちは息を止め、手を握りしめ、固唾を呑んでこの話に聞き入ります。
そうして最後、ロンが幸福になると、ほっと息をつくのです。

素晴らしい、めったにない、本物の一冊です。





ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント