めちゃ、面白かった!「AIに負けない子どもを育てる」新井紀子著 東洋経済新聞社 2019年

「AIに負けない子どもを育てる」新井紀子著 東洋経済新聞社 2019年


前著「AIvs. 教科書が読めない子どもたち」が話題となった

国立情報学研究所の新井紀子教授の、この9月に出たばかりの本。


前著は、すごーく気になりながら、図書館に予約したときには、すでに80人待ち。

未だ読めていません。

どっしよっかな~、と思っていたら、前著で明らかにした問題点について、

じゃあどうしたらいいのか?を書いた本が新しく出るらしい!

やったね! そっちを買おう! 


ということで読んだのですが、最初から最後まで付箋を貼りまくりでした!

目ウロコだったり、まじかー!と天を仰いだり、

そう!そうだよ!と膝を打ったり、じーんと感銘を受けたり、

めちゃ面白かった!(と言うと語弊がありますが)


この本の印税は、

新井先生が代表理事をなさる「教育のための科学研究所」の活動資金となるそうなので、

買って良かった!と心から思いました。

これから読む人は、ぜひ買ってくださいね!


以下、メモ&感想です。

「ん??」と思った方、ぜひぜひ、新井先生の本をお読みください!


AIに負けない子どもを育てる
AIに負けない子どもを育てる

~・~・~・~・~

新井先生は、2011年から、

「ロボットは東大に入れるか」という人工知能のプロジェクトを率いていた。

AIが日本の大学入試に挑戦したら、合格できるのか?

特に、最高峰である東大入試を突破できるのか?


素人考えでは、

コンピューターはなんでも覚えられて、データに瞬時にアクセスできるんだから、最強じゃん!

と思う。


2013年に、AIが多数の大学入学試験を突破。

将棋の電脳戦でプロ棋士がコンピューターに負けたニュース。

世間では、「AIに職をうばわれるのでは?」と話題に。

「シンギュラリティ」という言葉も流行る。


年々、着々と成績を上げてきたAIだが、

しかし、東大に合格できるか、と言われれば、見込みが立たない状態。

2016年にプロジェクトは、

近未来AIでは有名私大には合格し得るが、東大合格は見込めないと発表。


話題の「リーディングスキルテスト(RST)」は、

もともとは、AIの研究のために、考えられた。

人間の読解力を診断できるような高品質のテストを、人間にも解いてもらい、

AIにも解かせてみるのが、AI開発に最善、と考えられた。


ところが、先生のもくろみと違って、

AIにとって難しいテストは、多くの中高生にとって、

それどころか大人にとっても難しかった!

AIに対して人間が優位だと明らかにするつもりだったRSTが、

人間が「意味を理解して読むことができていない」という事実を明らかにしてしまった。


教科書や新聞の文章を読んで、2択で答える問題は、

正答率が三分の2に届かない中高生がかなりいた。

それまで、教育の学会に「教科書を生徒は読めるか」という問題意識はなかった。

日本の教育が根底から覆されかねない大事件!


中高生に「あなたは教科書が読めていますか?」とたずねると、

8割以上の生徒が「はい」と答える。

しかし、読めていない生徒は「読める」体験をしたことがないので、

「文字が読める= 読める」と思っていても仕方ない。


「事実について淡々と書かれた短文」を正確に読むことは、

実はそう簡単なことではなく、

それが読めるかどうかで人生が大きく左右される。


研究授業を見学する中で、新井先生は、

先生の板書を、生徒がノートに写すスピードにも注目。

板書を写すのが遅い子は、文章の意味を理解していない可能性が高い。

現場の先生たちの「子どものためを思っての努力」が、かえって悪いかもしれない、と気付いた。


穴埋め式プリントは、

「一人も取りこぼさないようにして、全員が十分に考え、

 議論をする時間を確保するため」に考案された。

しかしそのためにかえって、生徒が文章の意味を考える機会を奪ってしまった。

(板書を写すためには、文字ごとに写していては時間がかかる。

 人間は怠けたいので、時間を短縮するために、

 文章の意味を理解して文節や文単位で写すようになる)


人間は怠ける天才。だからこそ、文明が発展した。

抽象概念を理解し、操作(推論)することは、

多くの生徒にとって、暗記やキーワード検索より面倒くさく、難しい。

それを避けないように、中学卒業までに導くことが大事。

なぜなら、現代社会で生き残る上では、

意味を理解しながら抽象概念操作ができることは圧倒的なパワーを意味するから。

(例えば、Googleの二人の創立者、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが無から巨万の富を得たように)

ここまでが、本の序盤。

このあと、

☆RSTの紙上体験版

☆紙上模擬授業

☆「国語」という教科の問題点 など、

わくわく・ハラハラ・なんてこったー!なトピックが続きます。


終盤は、新井先生の真骨頂!

子ども一人ひとりを「意味がわかって読む子」にそだてるために、

公教育に必要なことが列挙され、

フェアで公平な教育について提言がなされる。

(あー、でもそのためには、

幼稚園・保育園・学校の教職員の資質や待遇向上とか、不可欠だよな~)


子どもに関わる大人、教育に関わる大人、政治に関わる大人、

つまりは全ての人に読んで欲しいです!


特に、以下のところ、新井先生の心意気を感じて、

ぐっときちゃいました!


~・~・~・~・~


日本は、少子化・地方の衰退・人手不足・格差の拡大という未経験の問題に直面している。

その解決には、多様な人材が必要。


親の年収が1500万を越え、就学援助や無母語児に接したことがなく、

最も近いコンビニまで10キロ以上あり、過疎のために鉄道が廃止された地域などは

見たことも聞いたこともないようなエリート集団に、この国の複雑な課題を解決できる気がしない。

「パンが食べられないならお菓子を食べればいいのに」と言ったマリー・アントワネットには、

当時のフランスを統治できなかったように。


給付型奨学金制度が確率し、子どもが安心して生活できる環境が保証され、

「自学・自習することができる基礎的・汎用的読解力」を中学卒業までに身に付けることができれば、

あとは生徒一人ひとりの自由意志で進路を決めることができる。

それが達成されてこそ、フェアで民主的な教育。


~・~・~・~・~


皆さん、ぜひこの本を買って、紙上版RSTをやってみましょう!

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